SPIRULINA / 微細藻類の栄養と研究

スピルリナとは?栄養成分・7つの特徴・足りない栄養素・他の食品との違いを解説

スピルリナは、たんぱく質、色素成分、ビタミン、ミネラルなどを含む、古くから食品として利用されてきた微生物です。「どんな栄養素が含まれる?」「何が不足しやすい?」「クロレラやユーグレナとどう違う?」という疑問に、成分と研究の両面から答えます。

01 / WHAT IS SPIRULINA?

スピルリナとは?「藻」と呼ばれる、栄養豊かなシアノバクテリア

スピルリナは、一般に藍藻(らんそう)と呼ばれるシアノバクテリアの一種で、光合成を行いながら増殖します。食品として流通する「スピルリナ」は、研究論文では Arthrospira、近年では Limnospira といった名称で取り扱われることがあります。

シアノバクテリアの祖先は地球の非常に古い時代にさかのぼります。ただし、現在食用に利用されるスピルリナが、35億年前から同じ姿で存在していたという意味ではありません。

小さな生物ですが、乾燥重量で比較的多くのたんぱく質を含み、独特の色素や脂肪酸も持つことから、食品素材として利用され、栄養学・食品科学の両面で研究されてきました。[1]

スピルリナに関する解説図

02 / NUTRIENTS

スピルリナの主な栄養成分「高たんぱく」だけではない、栄養の多様性

スピルリナの一般的な乾燥原料には、たんぱく質のほか、脂質、炭水化物、食物繊維、色素成分、ビタミン、ミネラルなどが含まれます。従来の資料では、たんぱく質約65%、脂質約7.3%、糖質約11.3%、食物繊維約5.5%と紹介されています。実際の栄養組成は藻株や培養条件、加工方法によって異なります。

01たんぱく質

乾燥原料のおよそ55~70%。アミノ酸を含む、スピルリナを代表する栄養成分。

02色素成分

フィコシアニン、クロロフィル、β-カロテン、ゼアキサンチン類など。

03ビタミン・ミネラル

ビタミンB群の一部や鉄、カルシウム、マグネシウムなどを含有。

04特有の脂肪酸

γ(ガンマ)-リノレン酸など、植物油や微細藻類の研究で注目される脂質。

※含有量の割合は乾燥したスピルリナ原料に関する一般的な資料の目安です。食品として実際に摂取する栄養素量は、食べる量と製品の成分表示で確認できます。

ここがスピルリナの魅力

特定の栄養素だけに注目するのではなく、さまざまな成分をあわせ持つ食品素材として、毎日の食生活に取り入れることを考えられます。

03 / SEVEN FEATURES

スピルリナ・7つの特徴スピルリナが持つ成分・性質を整理

  1. アミノ酸バランスの優れた植物性タンパク質が55~70%と豊富
  2. 食物繊維を4~8%含有
  3. 葉緑素やカロテノイド(βーカロチン、ゼアキサンチン類)、フィコシアニンなどの植物性色素を含有
  4. ビタミンB1、B2、B6などを含有(B12は足りない栄養素で詳しく解説)
  5. 鉄、カルシウムなどのミネラルの補給
  6. 多価不飽和脂肪酸のγ(ガンマ)ーリノレン酸(1.3%)等を含有
  7. 消化吸収率95%※動物実験

「消化吸収率95%」は動物実験で報告された数値です。ヒトが摂取したときの消化吸収率を一律に示すものではありません。

関連資料:加齢に伴う消化・吸収・排泄機能の変化(理学療法学)

04 / WHAT SPIRULINA CANNOT PROVIDE ALONE

スピルリナに足りない栄養素は?豊富な成分があっても、これだけで栄養は完結しません

「スピルリナに足りない栄養素」と検索する方も少なくありません。スピルリナには多様な成分が含まれていますが、特定の栄養素の十分な摂取を、スピルリナだけに任せることはできません。 特に確認したいのが、以下のポイントです。

01

ビタミンB12は、含有量だけで判断できない

スピルリナには「ビタミンB12」として測定される化合物が含まれますが、人が利用できない擬似ビタミンB12(不活性の類縁体)が多いとする分析研究があります。そのため、スピルリナをビタミンB12の確実な補給源として考えることは推奨されません。[2]

02

ビタミンC・Dなどは、別の食品で補う視点も

スピルリナは、すべてのビタミンを十分量含む万能食材ではありません。ビタミンC、ビタミンDなどは、スピルリナの一般的な利用量だけで必要量を満たせると考えず、野菜・果物・魚類・卵など、日常の食事全体で考えましょう。

03

たんぱく質が豊富でも、食べる量は少量

乾燥スピルリナのたんぱく質含有率が高くても、たとえば3gの原料を摂る場合、たんぱく質は約1.7~2.1gという計算です。主食・主菜・副菜などを置き換えるものではなく、あくまで食生活を補う選択肢です。

大切なのは「不足を怖がること」ではなく、組み合わせを考えること。

スピルリナの特長を知ったうえで、普段の食事にある栄養素と補い合う。その発想が、無理なく続けやすい取り入れ方につながります。

05 / COMPARING MICROALGAE

スピルリナとクロレラ・ユーグレナの違いは?似ているようで、分類も注目される成分も異なります

スピルリナ、クロレラ、ユーグレナは、いずれも食品素材として利用されている微生物です。大きな違いは生物としての分類と、特徴的な成分にあります。

比較項目スピルリナクロレラユーグレナ
生物としての分類シアノバクテリア(藍藻)緑藻の仲間ユーグレナ類(ミドリムシの仲間)
注目される成分フィコシアニン、たんぱく質、β-カロテン、γ-リノレン酸などクロロフィル、たんぱく質、カロテノイドなどパラミロン(β-1,3-グルカン)、たんぱく質、カロテノイドなど
細胞の構造・加工硬いセルロース性の細胞壁を持たない比較的丈夫な細胞壁があり、細胞壁の加工方法もポイントペリクルと呼ばれる柔軟な細胞表層を持つ
選ぶときの着眼点原料の栄養組成やフィコシアニン、品質管理栄養組成、細胞壁の加工方法、品質管理パラミロンなどの含有量、加工方法、品質管理

※成分は藻株・培養条件・製品によって変わります。表は代表的な違いを整理したもので、優劣や健康効果を比較したものではありません。[7][8]

スピルリナらしさ:青い色素たんぱく質フィコシアニンと、乾燥原料に豊富なたんぱく質が大きな特徴です。クロレラは緑藻ならではの色素や細胞壁、ユーグレナはパラミロンという独自の貯蔵多糖に注目が集まっています。

06 / FOOD OR VITAMIN SUPPLEMENT?

スピルリナとビタミンサプリメントは何が違う?「食品を取り入れる」ことと「特定の栄養素を補う」ことの違い

ビタミンサプリメントには、特定のビタミンを中心に配合したものや、複数のビタミン・ミネラルをまとめたものがあります。一方、スピルリナは微生物の乾燥原料を食品として利用するもので、たんぱく質や色素成分なども含みます。[12]

比較項目スピルリナ食品単一ビタミンサプリマルチビタミン・ミネラル
主な特徴たんぱく質・色素・脂肪酸・ビタミン・ミネラルなどをあわせ持つ食品素材ビタミンCやDなど、特定の栄養素に着目した設計複数のビタミン・ミネラルを組み合わせた設計
含有量の見方原料の栄養組成に加え、1日分でどれだけ摂れるかを確認目的のビタミンの種類と1日分の含有量を見る種類と各栄養素の含有量・摂取目安を見る
向いている考え方成分の多様性に興味を持ち、食生活の一部として取り入れる特定の栄養素の摂取量を確認して補う複数のビタミン・ミネラルの摂取をまとめて管理する

どちらが良い?というより、目的が異なります。スピルリナの成分の多様性と、ビタミンサプリメントの成分量がわかりやすい設計。それぞれの特徴から選ぶと、自分に合った食品が見つけやすくなります。

※ビタミンB12は、スピルリナを確実な補給源として扱えません。詳しくは「足りない栄養素」をご覧ください。一般的なビタミンサプリメントの成分構成は製品ごとに異なります。

07 / PROTEIN PER SERVING

スピルリナのたんぱく質はどのくらい?原料100gの割合と、実際に食べる量を比べてみましょう

乾燥スピルリナのたんぱく質は、USDAの食品成分データの一例で100g当たり約57.5g。割合としては高い数値です。一方、食品として利用する量が3gであれば、たんぱく質は約1.7gとなります。[9]

1回分の量で見たたんぱく質の比較(概算)

スピルリナ乾燥原料 3g
1.7g
鶏卵(全卵・生)50g
6.1g
鶏むね肉(皮なし・生)50g
11.7g

棒の長さは、この3例で最も多い11.7gを100%として表示。比較は実際に食べる量の例で、同じ重量での比較ではありません。卵と鶏肉は生の可食部、スピルリナは乾燥原料です。[9][10][11]

スピルリナは「乾燥原料にたんぱく質が豊富」な食品です。 普段の食事から摂るたんぱく質に、少量をプラスするという考え方が合っています。製品によって原料の配合量や1日の目安量が異なるため、実際の栄養成分表示で確認してみましょう。

08 / PIGMENTS & LIPIDS

フィコシアニン、β-カロテン、γ-リノレン酸スピルリナ独自の成分に注目する研究

青い色素

フィコシアニン

スピルリナの青色に関わる色素たんぱく質です。抗酸化・炎症に関連する基礎研究などが行われています。研究の多くは細胞・動物を対象としたもので、ヒトでの働きは引き続き検討されています。

カロテノイド

β-カロテンなど

β-カロテンやゼアキサンチン類は、食品に見られる色素成分です。β-カロテンは体内で必要に応じてビタミンAに変換されるプロビタミンAの一種です。

脂肪酸

γ-リノレン酸

多価不飽和脂肪酸の一種。スピルリナの脂質を特徴づける成分の一つとして研究されています。含有量は藻株・培養方法などによって異なります。

参考:2024年のスピルリナ総説

09 / RESEARCH

研究でわかってきたこと成分の研究から、ヒトを対象とした臨床研究へ

スピルリナについては、成分分析や細胞・動物実験だけでなく、ヒトを対象としたランダム化比較試験(RCT)も報告されています。複数の試験結果をまとめたシステマティックレビュー・メタ解析も登場し、研究が積み重ねられています。

2023 / 複数のRCTを統合脂質関連指標

脂質プロファイルを検討したメタ解析

20研究・計1,076人のデータを統合した報告では、スピルリナの摂取群で、LDLコレステロール、総コレステロール、中性脂肪などの指標について改善方向の差が報告されました。対象者や摂取量、研究条件が異なるため、同じ結果がすべての人に当てはまるわけではありません。

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2025 / GRADEによる評価血圧関連指標

血圧に関するシステマティックレビュー・メタ解析

成人を対象としたRCTをまとめた解析では、収縮期血圧・拡張期血圧の平均値が、比較群より低い方向に動いたと報告されています。一方、研究数・参加人数や摂取条件には限界があり、さらに質の高い研究が必要とされています。

原著概要を見る(PubMed) ↗
2024 / 基礎・食品科学成分と分類

スピルリナの分類と生理活性成分を整理した総説

学名の変遷、たんぱく質・脂肪酸・色素成分、生産技術などが体系的に整理されています。スピルリナを「何となく栄養が豊富な藻」としてではなく、研究対象として理解するための資料です。

全文を読む(PMC) ↗

※ここで紹介した研究は、スピルリナという素材に関するものです。特定の製品の効果を検証したものではなく、研究結果から病気の改善や予防を保証するものでもありません。

10 / QUALITY

スピルリナの品質はどう見分ける?購入前に確認したい4つのポイント

スピルリナの品質は、色の濃さや価格だけでは判断しにくいものです。原料がどこで育ち、どのような検査・製造管理を経ているかを、公開資料や販売元への問い合わせで確認するのがおすすめです。

CHECK 01

原料・培養環境がわかる

培養地、用水、使用原料、原料受け入れ時の管理について説明があるか。

CHECK 02

安全性に関わる検査がある

重金属、微生物、ミクロシスチンなどの混入リスクに対し、検査項目や基準が示されているか。

CHECK 03

製造とロット管理がわかる

衛生管理の仕組み、製造記録、ロットごとの追跡や検査の体制を確認できるか。

CHECK 04

1日分の栄養成分が明確

原料100gの数値だけでなく、製品の1日目安量あたりの表示も確認できるか。

※ミクロシスチンは一部のシアノバクテリアが産生する毒素です。スピルリナ自体が必ず産生するという意味ではなく、混入管理の観点から確認する項目です。[13]

たとえばDICライフテックのスピルリナでは、培養から製品化までの一貫した管理、成分分析・安全性試験、ミクロシスチンや重金属などの検査について公開されています。[5]

DICライフテックのスピルリナを使用した食品の製品写真
スピルリナを使用した食品の一例

実際に取り入れるなら、成分表示も確認

スピルリナの原料としての組成と、日常で摂取する1回分・1日分の栄養量は異なります。食品の表示を見ながら、自分に合った取り入れ方を考えてみましょう。

スピルリナを使用した食品の一例を見る

11 / QUESTIONS

スピルリナのよくある質問

Q. スピルリナは野菜の代わりになりますか?

さまざまな栄養成分を含みますが、野菜に含まれる水分・食物繊維などを同じ量だけ補えるわけではありません。野菜や果物も取り入れながら、食品の選択肢の一つとして考えるのがおすすめです。

Q. スピルリナに含まれていない栄養素はありますか?

すべての必須栄養素を十分に補えるわけではありません。とくにビタミンB12は、不活性の類縁体が多く含まれるという報告があります。ビタミンC・Dなども含め、食事全体の栄養バランスを大切にしましょう。

Q. スピルリナとクロレラは同じものですか?

分類も注目される成分も異なります。クロレラ・ユーグレナとの比較表で、違いをまとめています。

Q. どのように食生活に取り入れればよいですか?

普段の食事を基本に、食品として無理なく続けられる量を検討してください。粉末や粒など形態によって摂り方や摂取目安が異なるため、利用する食品の表示を確認しましょう。

A SMALL CHOICE FOR EVERYDAY HEALTH

いつもの食生活に、
もう一つの栄養の選択肢を。

スピルリナは、たんぱく質だけでなく、色素成分や脂肪酸、ビタミン、ミネラルなどをあわせ持つ、興味深い食品素材です。まずは何が含まれるかを知り、普段の食事と組み合わせてみる。 そんな小さな関心から、自分の食生活を見直してみてはいかがでしょうか。

株式会社三栄の健康食品相談窓口

スピルリナについて、もう少し詳しく知りたい方へ

「スピルリナと普段の食事をどう組み合わせたらいい?」「栄養成分の選び方を聞いてみたい」など、気になることがあればお気軽にご相談ください。商品購入が前提ではありません。健康食品の成分や選び方について、一緒に考えます。

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12 / REFERENCES

研究資料・参考文献

  1. Sinetova MA, et al. (2024). Spirulina/Arthrospira/Limnospira—Three Names of the Single Organism. Foods, 13(17), 2762. 論文全文 ↗
  2. Watanabe F, et al. (2002). Characterization and bioavailability of vitamin B12-compounds from edible algae. J Nutr Sci Vitaminol, 48(5), 325–331. PubMed ↗
  3. Rahnama I, et al. (2023). The effect of Spirulina supplementation on lipid profile: GRADE-assessed systematic review and dose-response meta-analysis of data from randomized controlled trials. Pharmacol Res, 193, 106802. PubMed ↗
  4. Shiri H, et al. (2025). The Effect of Spirulina Supplementation on Blood Pressure in Adults: A GRADE-Assessed Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Clinical Trials. Phytother Res, 39(1), 397–412. PubMed ↗
  5. DICヘルスケア事業「スピルリナの品質管理」 公式資料 ↗
  6. 農林水産省「ビタミンと食物繊維」 資料 ↗
  7. 独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)「パラミロン」特性データ。公的データ ↗
  8. Williamson E, et al. (2024). Ingestion of 'whole cell' or 'split cell' Chlorella sp., Arthrospira sp., and milk protein show divergent postprandial plasma amino acid responses with similar postprandial blood glucose control in humans. Frontiers in Nutrition. 論文全文 ↗
  9. 米国農務省(USDA)FoodData Central「Seaweed, spirulina, dried」(SR Legacy, FDC ID: 170495)。たんぱく質57.47g/100g。USDAデータベース(FDC ID: 170495で検索) ↗
  10. 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」鶏卵・全卵・生。たんぱく質12.2g/100g。食品成分データ ↗
  11. 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」若どり・むね・皮なし・生。たんぱく質23.3g/100g。食品成分データ ↗
  12. 米国国立衛生研究所(NIH)Office of Dietary Supplements, “Multivitamin/mineral Supplements – Consumer.” 公的解説 ↗
  13. 米国食品医薬品局(FDA)“Blue-Green Algae Products and Microcystins.” 公的解説 ↗

本文は公開研究と原料に関する情報を参考に構成しています。素材の一般的な特性を解説するもので、個別商品の機能性を示すものではありません。