LEM / RESEARCH HISTORY / EVIDENCE

LEMの研究史と分かっていることシイタケ菌糸体培養培地抽出物を、原著論文と研究対象から読み解く

1970年代の素材開発から、成分分画、化学構造の解析、細胞・動物での研究へ。ここでは、シイタケ菌糸体培養培地抽出物「LEM」に関する研究の歩みを、発表年と研究材料を明示しながら紹介します。

01|研究対象としてのLEM

LEMは、シイタケ菌糸体を米ぬかやサトウキビ由来のバガスなどを含む固形培地で培養し、培養した培地から成分を取り出した抽出物の名称として用いられます。[1]

菌糸体だけを取り出した粉末とも、一般的なシイタケの傘(子実体)から得られる抽出物とも異なります。初期の論文には「Lentinus edodes」、近年の研究には「Lentinula edodes」という学名も見られます。

研究には、抽出物そのものを使った試験だけでなく、抽出物から一部の成分を取り出した「分画物」を使った試験があります。研究で使用した材料を明らかにすることが、この素材の研究史を理解する出発点になります。

バガス・米ぬか → 菌糸体培養 → 抽出の流れ
素材

培養した固形培地から得る抽出物。一般的なシイタケの子実体抽出物とは区別します。

分析

多糖を含む分画や水溶性リグニンに関連する分画など、化学的な分析が進められました。

研究方法

動物、培養細胞、成分解析など。研究方法に応じて、言えることの範囲が異なります。

02|LEM研究の年表

野田食菌工業に関係する製法・原料の研究を中心に、資料で年次を確認できる代表例を並べました。すべての研究を網羅した年表ではありません。

素材開発の時期

野田食菌工業の企業沿革には、シイタケ菌糸体培養培地抽出物LEMの開発年として1971年が記載されています。[1]

抽出物と分画物を用いた動物研究

バガスと米ぬかの培養培地由来の水溶性画分LEM、アルコール不溶性画分LAP・LAP1を扱う、ラットの実験研究が『Cancer Letters』に掲載されました。[2]

成分を分けた培養細胞試験

LEMから得られた水溶性リグニンを含む分画を使用し、培養細胞における反応を解析した研究が発表されました。[3]

水溶性リグニンの化学構造に注目

LEM中の分画から得た水溶性リグニンについて、構造上の特徴を調べた研究が『Agricultural and Biological Chemistry』に掲載されました。[4]

JLS-18分画の細胞実験

野田食菌工業所属の共同著者を含む論文で、LEMから調製した水溶性リグニンに富む分画JLS-18について、培養細胞・白血球を使って複数の指標が検討されました。[5]

原料提供元が明記された研究

野田食菌工業から提供されたLEM粉末を用い、細胞試験とマウス試験が報告されました。研究材料の提供元が本文のMaterials and Methodsに記載されています。[6]

03|LEMと、LEMから分けられた研究材料

LEM研究を読んでいると、LEM、LAP1、JLS-18など、さまざまな名前が登場します。いずれも同一の試験材料を意味するわけではありません。

研究材料概要確認できる資料
LEMシイタケ菌糸体培養培地から得られる抽出物。研究ごとに原料・製法の記載を確認します。1982年論文、2018年論文
LAP・LAP1LEMから分離したアルコール不溶性の成分分画。多糖・たんぱく質を含む分画として分析されています。1982年論文
水溶性リグニン関連分画/JLS-18抽出物からさらに成分を分け、構造や細胞試験の指標を調べるために用いられた材料です。1990年・1997年論文
研究史で大切な区別

成分分画を培養細胞に加えた研究結果は、一般的な食品としてLEMを摂取した場合の結果とは同じ条件ではありません。

LEMの抽出物とLAP・LAP1、JLS-18など研究用分画の関係図
LEMの抽出物と、LAP1・JLS-18など研究用分画の関係を模式化

04|代表的な原著論文から見る研究の広がり

以下は論文名と試験材料、研究方法をもとにした要約です。個別の研究を取り上げることで、どのような分析や実験が行われてきたかを紹介します。

1982年|ラット・培養細胞

培養培地から得たLEMとLAP分画の研究

原著:Anticarcinogenic actions of water-soluble and alcohol-insoluble fractions from culture medium of Lentinus edodes mycelia.

研究概要:バガス・米ぬか培地由来の複数の分画を用いて、ラットや培養細胞の指標を比較しました。

この研究から分かること:LEMから別々の分画を得て、それぞれを独立した実験材料として扱っていたことが分かります。

PubMedで原著を見る ↗
1990年|成分分析・構造解析

水溶性リグニンの化学構造

原著:Structural characterization of the immunoactive and antiviral water-solubilized lignin in an extract of the culture medium of Lentinus edodes mycelia (LEM).

研究概要:培養培地に由来するリグニンが、どのような構造的特徴を持つかを化学的に調べた論文です。

この研究から分かること:抽出物を構成する成分について、実験で確かめた分子構造の特徴が示されています。

PubMedで原著を見る ↗
1997年|in vitro(試験管内)

水溶性リグニンに富むJLS-18を検討

原著:Immunopotentiating Activity of the Water-soluble Lignin Rich Fraction Prepared from LEM: The Extract of the Solid Culture Medium of Lentinus edodes Mycelia.

研究概要:限外ろ過やクロマトグラフィーで調製したJLS-18を用い、免疫細胞の反応などを調べた研究です。

この研究から分かること:成分分画による研究が進み、抽出物全体と一部の分画とを比較する段階に進んでいたことが分かります。

J-STAGEで原著を見る ↗
2018年|培養細胞・マウス

LEM粉末を用いた実験系の検討

原著:Inhibition of Influenza Virus Infection by Lentinus edodes Mycelia Extract Through Its Direct Action and Immunopotentiating Activity.

研究概要:研究材料として野田食菌工業提供の粉末を用い、細胞とマウスの異なる実験系で指標を測定しました。

この研究から分かること:材料の提供元・投与経路・実験対象が確認できる報告です。人を対象とした食品摂取試験とは条件が異なります。

原著全文を見る ↗

05|現在までに分かっていること

公開論文を通じて、LEMの研究が「素材の開発」から「化学成分の分析」、さらに「細胞や動物での研究」へ広がってきたことが確認できます。

成分・素材について

LEMは培養培地由来の抽出物であり、水溶性リグニン関連成分や多糖・たんぱく質を含む分画が調べられています。

研究の蓄積について

1980年代以降、原料と分画物の構造解析や、試験管内・動物モデルの研究が原著論文に掲載されています。

人への応用について

細胞・動物で観察された結果を、そのまま人の疾病予防・治療や市販の食品の働きとみなすことはできません。

このページは研究の歴史と資料を整理した情報ページです。特定の食品の効果・効能、医療上の適応を示すものではありません。症状がある場合や治療中の場合は、医療専門職にご相談ください。

06|参考論文・出典

  1. 野田食菌工業株式会社「企業情報・沿革」(1971年LEM開発の記載)。 企業沿革 ↗
  2. Sugano N, et al. (1982). Anticarcinogenic actions of water-soluble and alcohol-insoluble fractions from culture medium of Lentinus edodes mycelia. Cancer Letters 17:109–114. PubMed ↗
  3. Suzuki H, et al. (1989). Inhibition of the infectivity and cytopathic effect of human immunodeficiency virus by water-soluble lignin in an extract of the culture medium of Lentinus edodes mycelia (LEM). Biochem Biophys Res Commun 160:367–373. PubMed ↗
  4. Suzuki H, et al. (1990). Structural characterization of the immunoactive and antiviral water-solubilized lignin in an extract of the culture medium of Lentinus edodes mycelia (LEM). Agric Biol Chem 54:479–487. PubMed ↗
  5. Yamamoto Y, et al. (1997). Immunopotentiating Activity of the Water-soluble Lignin Rich Fraction Prepared from LEM: The Extract of the Solid Culture Medium of Lentinus edodes Mycelia. Biosci Biotechnol Biochem 61:1909–1912. J-STAGE ↗
  6. Kuroki T, et al. (2018). Inhibition of Influenza Virus Infection by Lentinus edodes Mycelia Extract Through Its Direct Action and Immunopotentiating Activity. Front Microbiol 9:1164. 原著全文 ↗

資料確認:2026年10月。開発史の確認には企業資料を用い、個別の試験内容は原著論文を優先しています。

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